防野宗和の のほとけの散歩道 横笛の詩  2015

第弐回 紀州かつらぎふるさとオペラ「横笛の詩の多数のご観覧をいただきありがとうございました


企画・脚本・演出・舞台デザイン

プロデュース/防野宗和(sowwa)

 

作曲/千秋次郎 作詞/小川淳子

 

指揮(音楽指導)/金 正奉

 

pf/番匠久世 fl/左川佑璃 

el/東 真帆 尺八/辻本公平

 

演技指導/山本弥生

進行/中西善子

女声(侍女)衣装/山口千代子

装置/中瀬孝大

横笛/野口眞知子 斉藤時頼・滝口入道/竹内直紀 斉藤茂頼/松澤政也 春蓬(合唱指導)/福本陽子

和音/安田和代 侍女(舞指導)/曽和敬子 侍女1,2/西尾 薫 森屋 結
僧侶(高野山真言宗和歌山青年教師会)/石橋弘龍 柿内諦光 金森良祐 戸田弘照 阪口隆祥 平田一成

序  章

高野山の滝口入道(斉藤時頼)から天野の里は病床の横笛に送った和歌

高野山 名をだに知らで過ぎぬべし

     うきよよそなるわが身なりせば」

 

それに応えて横笛は
「やよや君 死すればのぼる高野山

     恋も菩提の たねとこそなれ」

 

貴女の名前さえ知らずにおきましょう…と、言いながら和歌を送った滝口の想いは…。
私が死しても貴方の修行の糧となりますように…と応えた横笛の想い。互いを思いやる信愛美・祈り…。この5分間の序章の二人のアリアが、これから始まる2時間の物語の全てを表している。


恋 草 の 章 (恋の思いが激しく燃え上がる様は種々の草の生い茂る如し)
平安末期、 京の都 平清盛邸で催された宴の席…。時の内大臣、平重盛の家臣・斉藤時頼は、その宴の席で舞う美しい女性「横笛」に一目惚れする。二人の切なく哀しい恋の物語がここに始まります。

■幕開け/京の都 平清盛邸 前庭

■侍女と家臣の噂話し ■横笛、時頼(滝口入道)と出会って…


恋 風 の 章 (恋心のせつなさは、風が身に染みる如く)
横笛は建礼門院に仕える雑司女。所詮叶わぬ身分違いの恋故に、淡い恋心を断ち切らんと時頼は嵯峨野 往生院に出家する。そこに思い悩んで訪ね来た横笛に会うことすら拒み、 横笛が再び訪ねてきては 修行の妨げになると、女人禁制の高野山を目指します。

■時頼、父に横笛との結婚の許しを乞うが…  ■横笛、時頼の父 茂頼と出会う

■京都 奥嵯峨・往生院
出家した時頼(滝口)を頼って、和音と共に往生院を訪ねるが会うことすら叶わず… 人間愛から精神愛に救いを求め横笛も出家を決意する。
「山深み 思い入りぬる柴の戸の 誠の道に我を導け」
滝口に救いを求めて和歌を詠む。その思いは信愛美・祈りに変化し、仏の道に思いが置かれる…。


幻 世 の 章 (まぼろしのように、はかない人の世)
叔母である尼僧 春蓬を訪ねた横笛は出家を願い出る。しかしながら厳しい修行の日々のなか、横笛の身体は徐々に病に蝕まれるのです。

■奈良・法華寺/春蓬と横笛

■紀州かつらぎ天野の里
高野山で修行する斉藤時頼(滝口入道)。
それを伝え聞いた横笛は、紀州かつらぎ天野の里に移り住み、恋しき人へ想いを馳せながら過ごす日々でしたが、募る恋しさとともに病魔に侵された横笛は、いつしか帰らぬ人となりました。


寂 静 の 章 (煩悩を離れ、苦しみを去った解脱の境地。涅槃)
ウグイスに化身した横笛は、 天野の里の村人に感謝を残しつつ高野山へ飛び立ち、滝口入道が修行する高野山大円院の空で優しく鳴いて、 儚くもその庭の井戸に身を落とすのでした……。

■高野山・大圓院

ウグイスは大円院で今日も鳴く 一切煩悩皆空なりと (柳原白蓮)

■フィナーレ

沢山の皆さんにご協力をいただきました。心より御礼申し上げます。